近代野球の投手指標・FIP その①

野球と算数

【セイバーメトリクス入門】FIPとは?新しい投手の実力の測り方

※振り返り学習と、小学生の勉強に役立てる

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FIPに必要な計算

目次

  1. FIPとは?
  2. FIPの計算式
  3. 実際にFIPを計算してみよう!
  4. FIPの数字はどう見ればいい?
  5. FIPを使うときの注意点

1.FIPとは?

野球の投手成績において、防御率や奪三振数など、実力を示す、さまざまな指標を目にします。

今回は、セイバーメトリクスで使われる投手の評価指標「FIP」について調査してみました。

FIPとは、「Fielding Independent Pitching」の略です。「守備から独立した投球」という意味です。

「守備から独立した」とは、投手が守備の影響を受けずに、どの程度相手打者を抑えたかを評価する指標です。

例えば、打たせて取る予定の球を打ったにもかかわらず、それを野手がエラーしてしまうと、ピッチャーだけの責任とはいえません。有名なところでは、阪神時代の下柳剛選手が、内野手による連続エラーに怒り、グラブを叩きつけるシーンがあります。「プロ野球珍プレー集」などで放送されるときは、笑いを誘う演出でコミカルに描かれます。しかし投手の立場では、たまったものではありません。

そこでFIPでは、主に次の4つに注目します。

  • 被本塁打:ホームランを打たれた数
  • 与四球:フォアボールを出した数
  • 与死球:デッドボールを与えた数
  • 奪三振:三振を奪った数

つまり、フェアゾーンに飛んだ打球を度外視して、投手自身で抑えらえれる力に注目する指標なのです。ホームランについては、野手が取れるものではないため、投手の責任ということになります。

このFIPを見ると、「野球は投手だけでやるものではない」「打たせて取るも立派な投球術」と考える人も多いのではないでしょうか?私も初めて知ったとき、そう思った1人です。

しかしFIPとは、あくまで投手の能力を測るものであり、野手のプレーを否定するものではありません。

2.FIPの計算式

FIPとは、どのような計算で成り立っているのでしょうか?詳しく見てみましょう。

FIPの計算式は次のとおりです。

FIP=(13×被本塁打+3×(与四球+与死球)-2×奪三振)÷投球回+補正値

被本塁打と与四死球が少ないほど数値が下がります。よって、FIPも防御率と同様、数値が小さいほど良い投手ということになります。

補正値は、FIPを防御率と比較しやすくするための数字です。一般的には3前後ということですが、リーグや年度によって変わります。また、式に出てくる“補正値”と”×13、-2″などの係数は、別記事で説明いたします。

3.防御率とFIPを計算する

実際に計算してみましょう。ある投手が9回を投げて、次の成績だったとします。

  • 投球回:9回
  • 自責点:3点
  • 被本塁打:2本
  • 与四球:3個
  • 与死球:1個
  • 奪三振:10個

① 防御率の計算

防御率は、投手が9回を投げたとき、自責点を何点取られたかを表す数字です。

防御率の計算式

防御率=自責点×9÷投球回

今回の成績を当てはめると、

3×9÷9=3.00

つまり、防御率は3.00です。

② 同じ成績でFIPを計算する

次に、同じ投手の成績を使ってFIPを計算します。

FIPの計算式

FIP=(13×被本塁打+3×(与四球+与死球)-2×奪三振)÷投球回+補正値

※今回は、補正値を3.1と仮定します。

① 13×2=26

② 3×(3+1)=12

③ 2×10=20

④ (26+12-20)÷9+3.1

⑤ 18÷9+3.1=5.10

この投手のFIPは5.10となります。

③ 防御率とFIPを比べると

指標数字防御率3.00FIP5.10差2.10

防御率は3.00なのに、FIPは5.10です。その差は2.10もあります。

なぜ、こんなに違うのでしょうか?

防御率は、実際に取られた自責点を使って計算します。一方、FIPは、ホームランを打たれた数やフォアボール、三振などを使って計算します。

今回の投手は、実際の失点につながる自責点は少なかったものの、ホームランを2本打たれ、四球や死球も与えています。そのため、FIPでは防御率よりも高い数字になりました。

 

④ 逆のパターン!防御率は悪いのにFIPは良い投手

反対のパターンも見てみましょう。今度は、ある投手が9回を投げて、次の成績だったとします。

  • 投球回:9回
  • 自責点:6点
  • 被本塁打:0本
  • 与四球:1個
  • 与死球:0個
  • 奪三振:9個
  • 補正値:3.1

① 防御率を計算する

防御率=自責点×9÷投球回

6×9÷9=6.00

防御率は6.00です。先ほど出した投手の防御率3.00と比べると、かなり悪い数字です。

② FIPを計算する

FIP=(13×被本塁打+3×(与四球+与死球)-2×奪三振)÷投球回+補正値

数字を当てはめて計算します。

① 13×0=0

② 3×(1+0)=3

③ 2×9=18

④ (0+3-18)÷9+3.1

⑤ −15÷9+3.1=1.43(約)

この投手のFIPは約1.43となります。

③ 防御率とFIPを比べてみよう!

指標数字防御率6.00FIP約1.43差約4.57

防御率は6.00と悪いのに、FIPは約1.43と良い数字になりました。

なぜ、このような差が出るのでしょうか?

この投手は、ホームランを1本も打たれず、フォアボールも1個だけです。さらに、9回で9個の三振を取っています。

FIPでは、こうした投手自身の投球結果が高く評価されます。

一方、防御率は実際に取られた自責点を使うため、6点を取られた結果がそのまま数字に表れます。

つまり、三振を多く取り、四球やホームランが少なくても、実際には多くの自責点を取られることがあるのです。

ただし、FIPは投手の実力を完全に表すものではありません。今回のように大きな差がある場合は、被安打や守備、失点した状況なども確認すると、投手の特徴をより深く理解できます。

防御率とFIPを両方見ることで、数字だけではわからない投手の姿が見えてくるかもしれません!

4.FIPの数字はどう見ればいい?

基本的には、FIPの数字が小さいほど、投手にとって良い評価になります。

例えば、同じリーグで次の2人を比較してみましょう。

  • A投手:FIP 2.5
  • B投手:FIP 4.5

この場合、A投手のほうが、奪三振や与四球、被本塁打などの面で良い成績を残したと考えられます。

ただし、FIPの数字だけで投手のすべての能力がわかるわけではありません。

5.FIPを使うときの注意点

FIPは、投手の実力を考えるための便利な指標です。しかし指標すべてがそうであるように、FIPもまた万能なものではありません。

例えば、ゴロを打たせるのが得意な投手や、守備の助けをうまく受けられる投手は、FIPだけでは評価しきれない場合があります。数字では表しにくい心理的なもの、例えば「テンポの良い投球をして、野手のリズムを良くする。それが打撃にも良い影響を与え、援護点が増える」などといった、投球術についてはデータで表すのが非常に困難です。

そのため、防御率や奪三振数など、ほかの数字と一緒に見ることが大切です。

FIPを知ると、防御率だけでは見えにくい投手の特徴を発見できるかもしれません。

野球観戦の際には、ぜひ注目してみてください!

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