一専多能

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一専多能

様々なジャンルに対して知識・技術を持っているが(多能)、その中の1つに秀でた技術がある(一専)、という意味を持つ言葉。

一つのことを極めるためには、その分野の技術や知識だけではいけない。色々な分野の知識があればこそ、ひとつの分野に特化できるという格言です。

格言を勉強していくうちに、この「一専多能」という言葉が、現代社会において「自分を変える行動」に結びつくことが分かりました。

どういうことか説明する前に、まずは野球と絡めてみることにします。

 

野球に関する一専多能

野球選手の特徴は、色々な能力で表すことができます。

・足が速い

・肩が強い

・バットコントロールに長けている

・長打力がある

・選球眼がある

etc・・・

 

その能力の中で、自分が最も得意とする分野が「一専」です。分野によって、俊足・強肩・大砲・安打製造機といった代名詞を聞いたことがある方も多いことでしょう。

しかし「一専」だけではプロ野球選手になれません。基本的に野球をプレーするには「打つ」「投げる」「走る」「守る」といった動きが、すべて必要になります



 

「一専多能」の周東選手

昨今のプロ野球界は、福岡ソフトバンクホークスの育成選手が話題になっています。2019年・2020年と2年連続で日本シリーズ4連勝を飾り、強さを見せつけました。

また、2023年にはWBCで世界一となり、ホークス出身の選手も活躍しました。

それらの試合で活躍した選手の中で、「一専多能の申し子」ともいえる選手がいます。

・福岡ソフトバンクホークス:周東佑京(内野手・外野手)・・・「13試合連続盗塁」の世界記録保持者。

 

周東選手は支配下選手としてではなく「育成ドラフト」で指名され、そこから這い上がった選手です。

簡単に言うと「足が速いだけ」でスカウトの目に留まり、プロ入りした選手。しかしその俊足(一専)を活かして成長し、2023年のWBCで世界一まで上り詰めました。

 

ここで忘れてはいけないのは、「育成とはいえドラフトで指名されるレベルの野球選手だった」ということ。

どういうことかといいますと、周東選手はアマチュア界でそれなりの打撃・守備等の技術を習得していたからこそ、プロ入りが叶いました。そうでなければ、いくら一芸に秀でていてもドラフト指名されません。周東選手は、プロ入り前に最低限必要なスキルが既に身に付いていたということになります。

足の速いサニブラウンやケンブリッジ飛鳥、肩の強い室伏広治がそのままプロ野球選手になれるかというと、そうでないのは皆様もご存じのとおり。周東選手は、俊足を活かすための、別なスキルも持ち合わせていたということが分かります。



 

一般人にも「一専多能」が求められる時代

近年、一般社会でも「一専多能」が求められる時代になりました。専門外の技術や知識を、自分の専門分野に役立てるということです。

1990年代くらいまでは、一芸をひたすら磨く「職人」が日本の礎を支えておりました。世界のトヨタ・世界のSONYに代表されるように、工業大国日本となった時代です。しかし時は流れ、昨今は一芸だけでなく専門外の知識を取り入れる時代となりました。

専門外の知識とは、どのようなものでしょうか?私自身が携わった、設計開発の技術職を例にしてみます。

機械を設計するのであれば、機械工学や材料の知識・物理等の知識は必須です。しかし、それだけでは仕事が進みません。

昨今では、以下のような専門外の技術・知識が必要な時代になりました。

  • 観やすい画面を設置する・操作しやすい位置にボタンやスイッチを設置する等の、人間工学の知識。
  • 設計業務に使用するCAD(PCで図面を描くツール)の操作技術。
  • 製品の安全を証明するため、強度計算や熱計算をする知識と、そのためのツール。(Excel等)
  • プレゼン資料や取扱説明書を作成する技術。(PowerPoint、Word等)
  • その書類を作成するための、ページレイアウトセンスや文章能力。

 

その他、海外の企業と取引するには外国語のスキルが必須ですし、仕事の心得を知るためにビジネス書を読むことも大切。さらにストレス社会の現代、精神的に強くなるため「哲学書」のような本も必要かも知れません。

一つの仕事のために、複数のスキル・知識が求められる時代となりました。

 

「多能」のスキルは専門的でなくてよい

ここで大切なのが「スキルは専門的でなくても良い」ということです。よほどの天才肌でない限り、すべてのジャンルで専門性を高めるのは不可能でしょう。役立てる度合いを見極め、無理をしないことが大切。そうでないと長続きせず、心身ともに負担が大きくなってしまいます。例えば、英語はTOEICで高得点を取らなくても、「相手に伝われば良い」と判断できれば、そこで十分なのではないでしょうか?あくまで「一専」のサポートになるためなのですから。

 

持ち味を活かして成長した周東選手

野球の話に戻ります。周東選手は、2019年の大会「プレミア12」で侍ジャパンに選ばれ、「代走」で活躍してからの飛躍でした。それが今では持ち味を活かしつつ、打撃や守備についても結果を出しています。

人間誰しも「自分の持ち味を活かす」のが大切、しかし一芸だけでは限界がある。令和となった時代は、持ち味以外にも色々なスキルを融合する必要があります。それがPCのスキルなのか、料理の腕なのか、交渉術なのかは人それぞれです。しかし「一専多能」が求められる点は、どんな仕事も共通と言えるでしょう。

 

「一専多能」で人生の再チャレンジ

実は、自分が持っているスキルを「当たり前」と思ってしまったりする人が、思いのほか多いようです。

私の経験ですが、「自分は車の運転くらいしかできない」と耳にすることがあります。しかし、恥ずかしながら私はペーパードライバーの身。都会の複数車線や複雑な高速道路を走るドライバーさんを見ると、心から素晴らしい技術と感じます。

そこに、走る土地の情報・天候による運転や車のコンディションの把握・整備技術等のスキルをプラスすれば、さらにハイレベルなドライバーと化すことでしょう。環境によっては、収入にもつながるのではないでしょうか?

 

まとめ

年齢を重ねたとき、今まで培った「技術や経験」と「挑戦したいこと」を融合させることを考えてみてはいかがでしょうか?そこで何かが見つかれば、新たな夢が見つかるかも知れません。

最近の例では、野球と音楽を融合させた「野球音楽評論家・スージー鈴木」という方が活躍されています。一流企業のサラリーマンから転身して、芸能活動をされている方です。

何歳になってもやりたいこと、好きなことに挑戦し、ワクワクするのも悪くないのではないでしょうか?「ワクワク」の大きな効力のひとつとして、何もしないよりは、夢を見ていた方が精神的に良いのは間違いありません!これは、ブラック企業から脱却した私の経験でもあります。

特に野球好きは、多趣味な人が多いのも特徴。持っているスキルを組み合わせると、自分にしか出来ないこと、何かあるはずですよ!

最後にもう一度、何もしないよりは、夢を見ていた方が精神的に良いのは間違いありません!

 

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