OPSと少数の足し算

野球と算数

野球の新しい指標 OPS

OPS( On base Plus slugging) とは、長打率と出塁率を足した値です。

本当に単純に、 OPS=長打率+出塁率 です。

セイバーメトリクスにおいて、最も有名な指標ではないでしょうか?最近では、打者の成績は「打率よりOPS」という人も増えています。

※On base:出塁、slugging:長打

「長打率」「出塁率」はどちらも割り算で導きます。割り算した値を足し算するという、不思議な計算式です。初めて見た方は、しっくりこないかも知れません。私もそうでした。いったいどのようなしくみなのでしょうか?

OPSを求める前に、小数の足し算をおさらい

OPSの計算は、長打率と出塁率を使用するため、小数の足し算を使用します。

せっかくですから少数の足し算をおさらいしておきましょう。

小数の足し算は、小数点と呼ばれる点を合わせて足し算します。以下はその例です。

例 0.641+0.285=0.926

※この式の計算方法は以下のとおり。ひっ算を使うと計算し易いです。

  1. まずは、小数点を同じ位置に合わせ、値を整理する。
  2. 一番下の桁を足し算する。足した数が一桁なら、そのまま答えに書く。この場合は6になるので、そのまま答えになる。
  3. 4+8=12だと、二桁になる。この場合、次に12を「10」と「2」の二つに分ける。一桁目の「2」はそのまま答えに書き、二桁部分の「10」は上の桁に繰り上げて足し算する。
  4. 上の桁を足し算する他、繰り上がってきた数「1」も計算に加える。ここでは、元からあった数「6+2」に、繰り上がった数「1」を足して「6+2+1」とする。
  5. 計算結果を出す。ここでは「926」が答えとなる。

 

この式を基に、セイバーメトリクスの指標「OPS」を計算してみます。

 

OPS( On base Plus slugging)の求め方

OPS=出塁率+長打率

この指標は、出塁率と長打率を単純に足し算したもので「どれだけ出塁して、なおかつどれだけ進塁できるか」が分かります。OPS が開発されたことにより、従来の打率と本塁打数での能力値と比較して「四球を選べる能力・二塁打・三塁打を打てる能力」が加味され、より細部まで選手の能力を計れるようになりました。

※出塁率・長打率の計算式についてはこちら。

下の成績は、2022年にセリーグの三冠王に輝いた東京ヤクルトの村上宗隆選手の長打率と出塁率です。これを基にOPSを算出してみましょう。

長打率.710

出塁率.458

少数の足し算に当てはめて式を書いてみると、以下のとおりになります。

以上の計算から、村上選手のOPSは1.168となることが分かりました。

 

打率とOPS

打者成績を表す最も有名な指標は、なんといっても「打率」ではないでしょうか?その打率とOPSを比較すると、どのような違いが現れるのでしょうか?

以下の表は、2022年セリーグの打率10傑です。

               2022年 セリーグ打率10傑

             2022年 打率10傑→OPS順への並び替え

 

 

打率10傑をOPS順番に並び替えてみると、順番がかなり変わることが分かります。三冠王・村上選手は不動の地位としても、その他の選手に順位の変動が見られます。

まず、打率2位の大島選手(中)が、OPSになると7位まで下がります。反対に打率8位の牧選手(デ)は、打率は8位ですがOPSは2位になりました。OPSには、それだけ打率では表せない能力が入っているということになります。もちろん、大島選手と牧選手はプレースタイルも選手としての役割も違いますから、「どちらが優秀か?」という判断はできませんのでご了承願います。

 

まとめ

昨今、セイバーメトリクスは徐々に一般化してきました。その中でも、OPSは基礎的で解りやすく、それでいて打者の細かい能力が分かる指標になっています。

OPSでは「打率より出塁率が大切」という考えの基、単打1本と四球1つは同じ価値としています。四球の数が加味されることにより、選球眼が成績に反映されるようになりました。また、長打率をプラスすることにより単打と長打を区別した成績になっています。これは野球の成績を示す上で、画期的なことではないでしょうか?

今はスマホで検索すれば、打率・本塁打・打点だけでなく、長打率・出塁率・OPS等の情報も得られるような時代になりました。

特にOPSは重要視されつつある成績であり、野球を楽しむためには今後注目して欲しい指標でもあります。選手成績をチェックする際に気にしておくと、より野球が楽しくなることでしょう。

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